Q06:『ランプ励起YAG』と『ファイバーレーザ』
近年、ファイバーレーザが高性能/低価格化している中、YAGレーザの市場は、ファイバーレーザ化へ変化している状況であると言えると伺えます。
実際に1kWを超える、YAGの高出力CWレーザ市場がファイバーレーザ化している
状況であり、ファイバーレーザは理想的なレーザであると考えています。
特にパルス発振の可能なファイバーレーザも登場し、スポット溶接市場もファイバーレーザ化の兆しがある傾向です。
しかしながら、500W以下の『ランプ励起YAG』は、ファイバーレーザでは実現が難しい、低価格で高いピークを必要とする『スポット溶接』加工で一定の役割を担っております。
低価格化した『ランプ励起YAGレーザ溶接機』は、導入費用とコストパフォーマンスが魅力で一定の役割があり、箔材等の超薄物から厚物、微細接合、シーム溶接等にはファイバーレーザが有効であると考えています。
■ 異なる点
ファイバーレーザのメリット
・ビーム品質が良いので拡がりが小さく、ファイバー径の細いものが選択可能であり、YAGレーザよりも更に微小で安定したスポット溶接が可能です。
・より高速でシーム溶接や切断が可能です。
・ LD交換以外でメンテナンスの必要がなく、長時間安定して加工が行えます。
・ランニングコストが安い
ファイバーレーザのデメリット
・初期導入コストが高価
・高ピークを必要とするパルススポット溶接が苦手
YAGとファイバレーザでは、加工したいワークによってメリットでデメリットが分かれるため、費用対効果を考えて選択するのが良い。
『YAGレーザ』と『ファイバーレーザ』溶接表面と断面比較 |
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出力条件や光学系によって異なりますが、SUS材料を加工した場合には下記の様な差が出ます。
写真左が『シングルモードファイバーレーザCW溶接表面と断面』
写真右が『パルスYAGレーザ連続溶接表面と断面』
ファイバーレーザは高速で細く深い溶接が得意であり、溶接断面の縦横比(アスペクト比)が4以上を比較的容易に得られます。
接合部の強度を得るため無理にファイバーレーザ溶接でYAGの断面幅形状に合わせようとしても、ファイバーレーザのメリットを半減させてしまう場合もあります。
レーザ溶接は材質や質量その形状から最適な溶接条件の机上計算が難しく、導入費用を含めレーザ溶接行程のトータルコスト等を検討し、溶接特性を生かした条件出しや実際の加工を確認することが重要となります。
■ 溶接部の表面と断面
【 ファイバーレーザ 】 【 YAGレーザ 】
FL-MM = マルチモードファイバーレーザ
FL-SM = シングルモードファイバーレーザ
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